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Master Fishcamp

羽化の季節~May of Mayfly~

例年だと5月はまだシーズンインにの直前、といった時期ですが、

今年は春がかなり好天に恵まれましたので(心配なくらいですが)、

やはり少し早い地域も多いようです。


数日前に十勝の平地を流れる川に立つと、

すでに渇水と初期の水生昆虫の羽化のピークでした。

渇水ですので、浅い瀬ではライズがあちこちに。

しかし大型魚は例年通り、浅場にはまだ出ていないようです。


午前9時、流下はオオクママダラカゲロウの前日までのスピナーが目立ちます。

スピナーへのライズは偏食する傾向が強いので、

フライの選択を間違えなければ、連続ヒットが期待できます。

が、流下を見極められずに、ダンやカディスでは見向きもされない、

という事が多々あります。相手がたとえ30㎝に満たないトラウトでも、です。


この日は、日帰りゲストと十勝の支流をガイドしましたが、

まさにこんな状況に当たりました。

最初はウェットが慣れているとのことで、

イマージャー風のマーチブラウン。

北海道では夏場に多いヒラタカゲロウのハッチには最高のフライのひとつ。

しかし、一投目に軽くククンと反応があったきりで、そのあとは無言。

ライズは続いています。

そこでドライフライだろうと、アダムスパラシュートです。

ハックルが密に巻いてあり、流れのラフな多くの北海道ニジマス河川で有効です。

しかしこれははっきりと無視され続けました。

フライの通過した流れの後で、見事に本物へライズしているのです。


流れの中からスピナーをすくい上げて、ゲストと結論を出します。

これはスピナーの偏食だと。

ボックスから12番のアダムスのスタンダードを取り出して、

ハックルを少しむしり取り、グリズリーのウィングを横に寝かせ、

水面に張り付かせるようにするのがコツです。

トラウトからどのように見えるか、

流下する本物にどれだけ似せられ、かつ、

逆に存在感を与えられるか。


そうして一投目。

あっさり、ばっさりと、スピナーパターンでヒット。

そして次々と連続ヒットです。

それまでの無視が夢だったのかというようほど、

見事な変化でした。

ゲストも目を丸くして(ガイドは少し満足げに)

これこそドライフライの、マッチングザハッチの醍醐味だね!

と改めてフライフィッシングの奥深さと、

自然観察の面白さ、大切さを実感したガイドになりました。

ドライフライの釣りは、水中の釣りと違って、

釣り人が目視できること、因果関係がはっきりと理解できること。

コレに尽きます。

手元に来るあのグググッという手ごたえの代わりに

目に見えて、トラウトの賢さと、自分の不甲斐なさ、

そしてそれを乗り越える英知、勝負を体感できるのです。




11時頃にはダンが目立ち始めました。

その中のひとつを手に取ると、濃いダンカラ―のウィングは立っていますが、

ボディにはまだニンフの抜け殻が被さっており、

羽化に失敗した個体だという事が分かります。

水棲昆虫研究家の刈田さんが繰り返しレポートしていた「トラップド・ダン」。

もっともトラウトに食べやすい形態の一つです。

次はこんなフライパターンを巻いて挑みたくなります。

ちょうどこの冬は、ホワイティング社のハックル、

『High&Dry』のミディアムダンを手に入れました。

大きめの14~8番くらいのハックルが長いストークのおかげで何本も巻けます。

北海道でしたら、一枚買えば一生使えるほどですし、

高騰するハックルの中では比較的にリーズナブル、おススメの一枚です。


今年は季節の進行がかなり早いのです。

道央~道南圏は稀に見る大雪、厳冬でしたから、

やはりというよりも、予想外にというべきでしょうか。

メイフライの季節は6月へと続いていきますが、例年だと初夏~盛夏に羽化する、

カディスもすでに大量にハッチを始めた川、区間もあります。

カディスの攻略については、

メイフライとまた違った自然現象が起きますので

また次のポストでご紹介しましょう。

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